皆様お世話になっております。
司法書士の古堅です。
今回は平成26年6月27日に「会社法の一部を改正する法律案」(法律第 90 号、以下「改正会社法」という。)が公布されましたが、その中の「社外性の要件の変更」に関してご説明いたします。
社外役員(社外取締役、社外監査役)とは、社内の指揮命令関係の影響を受けない立場で発言する人を指します。彼らは経営を健全に維持する役割が期待されており、資格要件として会社関係者でないことが要求されています。
今回の改正では、社外役員になれない人的範囲が拡げられ、これまでより一層社外性が求められることになります。
具体的には以下のとおりです。
(1)社外取締役
①社外性の要件に以下の点が追加されます(要件の厳格化)。
・親会社の取締役・執行役・支配人・その他の使用人でないこと(改正会社法 2 条 15 号ハ)。
※親会社の (社外) 取締役による兼任ができなくなります。
・当該株式会社の経営支配者(自然人に限る)でないこと(同上)
*「経営支配者」の定義は省令(会社法施行規則)により定められます(50%を超え
る議決権を有する株主であること等が、改正案としてパブリックコメントに付されて
います)。
・兄弟会社の業務執行取締役等でないこと(同条同号ニ)
*「業務執行取締役等」の定義は以下のとおりです(同条同号イ)。
=「当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役~若しくは執行役又は支配人
その他の使用人」
・経営支配者(自然人に限る)又は当該株式会社の取締役・執行役・支配人その他の重
要な使用人の配偶者又は二親等以内の親族でないこと(同条同号ホ)。
②社外性の要件について対象期間が導入されます(要件の緩和)。
・その就任前 10 年の間に、当該会社又は子会社の業務執行取締役等でなかったことに
限定されます。(同条同号イ)。
・ただし、その就任前 10 年内のいずれかの時において、当該株式会社又はその子会社
の取締役・会計参与・監査役であったことがある者(業務執行取締役等であった者を
除く)にあっては、それらへの就任の前 10 年間、当該会社又はその子会社の業務執
行取締役等であったことがないことが求められます(同条同号ロ)
*例えば、株式会社の業務執行取締役が、その退任から 10 年を経過しない間に監査
役に就任していた場合、仮に上記の要件(10 年)を満たしていた=業務執行取締役を
退任してから 10 年超経過していたとしても、社外取締役としての機能を十分に果た
しうるほど、業務執行者からの影響が希薄化したということはできないと考えられま
した。
(2)社外監査役
①社外性の要件に以下の点が追加されます(要件の厳格化)。
・親会社の取締役・監査役・執行役・支配人・その他の使用人でないこと(改正会社法 2 条 16 号ハ)。
※親会社の (社外) 監査役による兼任ができなくなります。
・当該株式会社の経営支配者(自然人に限る)でないこと(同上)
*社外取締役と同じ趣旨です。
・兄弟会社の業務執行取締役等でないこと(同条同号ニ)
*社外取締役と同じ趣旨です。
・経営支配者(自然人に限る)又は当該株式会社の取締役・支配人・その他の重要な使用人の配偶者又は二親等以内の親族でないこと(同条同号ホ)。
*社外取締役と同じ趣旨です。
②社外性の要件について対象期間が導入されます(要件の緩和)。その就任前 10 年の間に、当該会社又は子会社の取締役・会計参与・執行役・支配人その他の使用人でなかったこと限定されます(同条同号イ)。
・ただし、その就任前 10 年内のいずれかの時において、当該株式会社又はその子会社の監査役であったことがある者にあっては、その監査役への就任の前 10 年間、当該会社又はその子会社の取締役・会計参与・執行役・支配人その他の使用人であったことがないこと(同条同号ロ)