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生前贈与

生前贈与とは

生前贈与とは、被相続人が死亡する前に、自分の財産を人に分け与えることを指します。平成27年から、相続税が増税になったため、税金対策のために生前贈与を行う方が増えてきました。

相続財産を計算する際には、相続人に対する生前贈与も相続分の前渡しとして、遺贈同様に計上されます。 生前贈与分や遺贈分を「特別受益」といいます。 ただし特別受益と認定される贈与は①婚姻のため、②養子縁組のため、③生計の資本としてのいずれかにあたる贈与に限られます。

この「特別受益」と「現存する財産」を足した物が、相続財産となります。これを特別受益の持ち戻しといい、相続人各々の相続分に応じて分けます。


<生前贈与の計算例(国税HPより抜粋)>
◆平成26年4月1日現在法令の場合
例:父及び母から生前贈与を受け、父からの贈与について相続時精算課税を選択する場合

(1年目)
父から1,000万円、母から400万円の贈与を受け、父からの贈与について相続時精算課税を選択する。
(1)父からの贈与
<課税される金額の計算>
1,000万円-1,000万円(特別控除額)=0

<翌年以降に繰り越される特別控除額の計算>
2,500万円-1,000万円=1,500万円

(2)母からの贈与
<課税される金額の計算>
母からの贈与については、相続時精算課税を選択していませんので、2,500万円の特別控除額ではなく、110万円の基礎控除額を受贈額より控除します。
400万円-110万円(基礎控除額)=290万円
<贈与税額の計算>
 290万円×15%-10万円=33.5万円

(2年目)
父から1,000万円の贈与を受ける
<課税される金額の計算>
 1,000万円-1,000万円(特別控除額)=0

<翌年以降に繰り越される特別控除額の計算>
 1,500万円-1,000万円=500万円

(3年目)
父から1,000万円の贈与を受ける。
<課税される金額の計算>
 1,000万円-500万円(特別控除額)=500万円

<贈与税額の計算>
500万円×20%=100万円(贈与税額)

相続時精算課税を選択した場合、その後の撤回はできません。また、相続時精算課税の特別控除を受けるためには、贈与税の期限内申告が必要です。なお、相続時精算課税を選択した場合、その選択に係る贈与者(上記の例では父)が死亡したときの相続税の課税価格に、その贈与者から贈与により取得した財産の贈与時の価額を加算することとなります。上記の例では父から贈与を受けた財産の合計額3,000万円を父が死亡したときの相続税の課税価格に加算することとなります。

贈与の各制度

登記所の場所

贈与には「暦年贈与」と「連年贈与」という制度があります。

  • 暦年贈与とは
    暦年贈与とは1年間に贈与を受けた財産の合計額を基に贈与税額を計算する方法を指します。具体的には1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の価額の合計額(課税価格)から基礎控除額110万円を差し引いた残額(基礎控除後の課税価格)について、次の速算表により贈与税額を計算します。

    <速算表>
    基礎控除後の課税価格 税率 控除額
    ~200万円以下 10%
    200万円超~300万円以下 15% 10万円
    300万円超~400万円以下 20% 25万円
    400万円超~600万円以下 30% 65万円
    600万円超~1,000万円以下 40% 125万円
    1,000万円超~ 50% 225万円

    (計算例)
    300万円の贈与を受けた場合の贈与税は
    「(300万円-基礎控除額)×(速算表税率)-(速算表控除額)」で計算することになるので

    (300万円ー110万円)×15%ー10万円=18.5万円

    となります。

  • 連年贈与とは
    連年贈与とは毎年繰り返し贈与することを指します。贈与を行う際、110万円の控除がるため、例えば1000万円を10年で渡せば無税で贈与することが可能ということになります。

    ただし、ここで注意して欲しいのが「毎年同じ日に同額を贈与する契約」を行わないということです。税務署もこの方法で税金対策を取られると何も回収できないため、ある程度対策をとっているようで、国税庁タックスアンサーにこの問題について以下のように書かれていました。

  • Q 親から毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受ける場合には、各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下ですので、贈与税がかからないことになりますか?
    A 各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので申告は必要ありません。ただし、10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束した年に、定期金に関する権利(10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかりますので申告が必要です。

    税務署に何も突かれたくなければ、例え1000万円を贈与するとしたとしても、毎年たまたま贈与が行われた体裁をとっておく必要があります。

相続時精算課税とは

相続時精算課税制度とは、「暦年贈与」や「連年贈与」などの基礎控除110万円をなくす代わりに、2,500万円までの特別控除を設け、その額に達するまでは非課税になる制度のことを指します。なおこの制度を利用した場合、その贈与者については従来からある110万円まで非課税である「暦年贈与」や「連年贈与」には戻せません。もし贈与額が2,500万円を超えた場合は、一律20%の贈与税が課税されますが、その贈与税は相続時に相続税額から差し引かれ、相続税額が少ない場合は差額が還付されます。

従来の贈与
(暦年課税)
相続時精算課税制度 相続時精算課税制度
贈与税の計算 (贈与額-110万円)×累進税率
累進税率は10~55%の8段階
※税率区分は、(1)「20歳以上の子や孫への贈与(特例贈与)」と(2)「それ以外への贈与(一般贈与)」で異なります。
(贈与額-2,500万円)×20%(一定)
贈与税条件 誰でも 60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子・孫への贈与
※年齢は贈与の年の1月1日現在の満年齢。
相続税との関係 相続税とは切り離して計算
(ただし相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税価格に加算)
相続税の計算時に贈与税は精算される。精算時の贈与財産の評価は贈与時の時価
贈与税の納税 歴年単位で計算し納税
暦年とは、その年の1月1日~12月31日
特別控除2,500万円を超えた贈与時ごとに納税し、相続時に精算
相続税の節税効果 贈与税の基礎控除(110万円)は毎年使え、非課税となる。相続時も相続開始前3年以内の贈与でなければ相続税の対象外 相続時に相続財産と合算する贈与財産の価額は贈与時の時価なので、相続時に評価が上がっているものを贈与すると相続財産の圧縮ができ節税効果あり
大型贈与の可能性 数年にわたり多人数に行えば大型の贈与が可能。 2,500万円まで贈与税がかからないので、大型の贈与がしやすい
ただし、相続開始前3年以内の贈与は相続税の課税価格に加算
制度の移行 従来の贈与(暦年課税)から、相続時精算課税制度への移行は可能 相続時精算課税制度を選択した後で従来の贈与(暦年課税)への移行は不可能

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相続時精算課税の適用手続方法

相続時精算課税を選択しようとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出することとされています。なお、提出期限を過ぎてから提出した場合は、相続時精算課税の適用を受けることはできません)。

<沖縄納税地>
税務署名 所在地 電話番号 管轄地域
石垣 〒907-8502
石垣市字登野城8番地
0980-82-3074 石垣市・八重山郡
沖縄 〒904-2193
沖縄市東2丁目1番1号
098-938-0031 宜野湾市・沖縄市・うるま市・中頭郡中城村・北中城村・嘉手納町・北谷町・読谷村
北那覇 〒901-2550
浦添市宮城5丁目6番12号
098-877-1324 那覇市の一部・浦添市・中頭郡西原町・島尻郡久米島町・渡嘉敷村・座間味村・粟国あぐに村・渡名喜村・南大東村・北大東村
名護 〒905-8668
名護市東江4丁目10番1号
0980-52-2920 名護市・国頭郡・島尻郡伊平屋村・伊是名村
那覇 〒900-8543
那覇市旭町9番地
沖縄国税総合庁舎
098-867-3101 那覇市の一部・糸満市・豊見城市・南城市・島尻郡八重瀬町・与那原町・南風原町
宮古島 〒906-8601
宮古島市平良字
東仲宗根807番地の7
0980-72-4874 宮古島市・宮古郡

夫婦間の贈与

夫婦間の贈与とは、婚姻期間が20年以上の夫婦の間の贈与に関する制度で、「居住用不動産」または「これを取得するための金銭」の贈与の場合、基礎控除110万円+最高2000万円まで控除(配偶者控除)を行うことができます。

特例を受けるための適用要件

  • 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行う
  • 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための居住用不動産(または居住用不動産を取得するための金銭)である
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産(または居住用不動産を取得するための金銭)に、贈与を受けた者が現実に住み、その後も引き続き住む見込みである
    (注)配偶者控除は同じ配偶者の間では1回しか適用できません。

特例を受けるための手続き

  • 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本又は抄本
  • 財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍の附票の写し
  • 居住用不動産の登記事項証明書
  • その居住用不動産に住んだ以後に作成された住民票の写し。
    ※戸籍の附票の写しに記載されている住所が居住用不動産の所在場所である場合には、住民票の写しの添付は不要

特例受けるための対象となる居住用不動産の範囲

  • 居住用不動産は、日本国内に存在する
  • 居住用家屋の敷地には借地権も含まれる
  • 居住用家屋とその敷地は一括して贈与を受ける必要はない
  • 居住用家屋だけや居住用家屋の敷地だけの贈与ができる(家だけの贈与や土地だけの贈与ができる)
  • 居住用家屋の敷地だけの贈与は、その家屋の所有者が次の2つの条件のどちらかに当てはまることが必要です。
    ◆夫または妻が居住用家屋を所有している
    ◆夫または妻と同居する親族が居住用家屋を所有している
  • 敷地の贈与の場合、敷地の一部を贈与できる
  • 居住用家屋の敷地が借地権なら、金銭の贈与を受け、地主から敷地(底地)を購入することができる