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死因贈与について

死因贈与とは、当事者間の合意による契約で遺産を渡す方法です。通常の贈与と違う点は、「遺言者の一方的な意思表示によって、贈られる側(受遺者)の同意を必要とせず受け取らなければいけない」ということです。死因贈与では「自分が死んだら、▲▲君に〇○の財産をあげるよ」といった贈与者の言葉に対して「では、いただきます」と貰い受ける側(受贈者)が受諾するという法律行為を成立させなければいけません。

<贈与と死因贈与の違い>
  贈与 死因贈与
類似点 死亡によって自己の財産権が相手に移転する
相違点 一方的な意思表示による単独行為
→相手側(受遺者)の承諾は不要。
当事者間の事前の合意による契約行為
→相手側(受贈者)の承諾が必要。

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契約の方式は自由

遺言書の場合、どのような形式(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)をとったとしても、「遺言の方式の準拠法に関する法律」を守らなければ無効になってしまいますが。

ですが、死因贈与に関しては、あくまで”契約”をすることになるので、公序良俗に反すしなければ、自由に取り決めることができます。極端にいえば、”口約束”ですら問題ないことになります。

ただし、口約束だけでは証拠能力が乏しいため、後々、無用なトラブルを招く場合もあります。ですので、できるだけ契約意思を明確にする書類を作成しておいた方が賢明です。

死因贈与は撤回することできる

民法第554条の立場をとっている死因贈与では、たとえ書面による死因贈与契約をした場合であっても、原則として自由に撤回することができるとされています。

ただし、「前提条件を付けた負担付き死因贈与契約」に関しては、撤回できないケースも有るようです。

※負担付き死因贈与とは、贈与者に何かしらの義務・負担を課すことを条件に贈与する契約を指します。

最高裁の判例

--名古屋高等裁判所金沢支部 昭和57年4月30日 遺言無効確認--
判示事項:負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合と民法一〇二二条、一〇二三条の規定の準用の有無
裁判要旨:負担の履行期が贈与者の生前と定められた負担付死因贈与の受贈者が負担の全部又はこれに類する程度の履行をした場合には、右契約締結の動機、負担の価値と贈与財産の価値との相関関係、契約上の利害関係者間の身分関係その他の生活関係等に照らし右契約の全部又は一部を取り消すことがやむをえないと認められる特段の事情がない限り、民法一〇二二条、一〇二三条の各規定は準用されない。

その他

  • 相続のような「承認・放棄」は認められない
    死因贈与は契約なので、既に双方(贈与者と受贈者)は合意したとみなされます。ですので、相続のような「承認・放棄」という作業はそもそもないのです。
  • 未成年者は親権者の同意(または代理)が必要
    20歳未満の未成年の場合は、法定代理人(親権者や後見人など)の同意、または代理を必要とします。
    なお、遺言に関しては、未成年者であっても、15歳以上であれば、法定代理人の同意(代理)なしに「承認・放棄」をすることができます
  • 税は、贈与税ではなく相続税
    死因贈与では、財産の移転に関しては遺贈と同じように、相続税の対象となります。また、不動産の移転などがあれば、別途不動産取得税や登録免許税などもがかかってきます。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、判断能力が十分でない方(認知症、知的障害、精神障害など)が不利益を被らないように、家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人を付けてもらう制度のことを指します。

成年後見制度の種類

成年後見制度は、大きく分けると「法定後見制度」と「任意後見制度」の2つがあります。この内、法定後見制度は更に「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれており,判断能力の程度など、本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。

法定後見制度では、家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護や支援します。

  後見 保佐 補助
対象者 判断能力が欠けていることが通常の状態の方 判断能力が著しく不十分な方 判断能力が不十分な方
制度利用の申立てをすることができる人 本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長など
成年後見人・保佐人・補助人の同意が必要な行為 借金、訴訟行為、相続の 申立ての範囲内で家庭
承認・放棄、新築・増改築などの行為等 裁判所により審判で定める特定の法律行為
(民法13条1項所定の行為) (民法13条1項所定の行為の一部)
取消しが可能な行為 日常生活に関する行為以外の行為すべて 同上、日常生活に関する行為 同上、日常生活に関する行為
成年後見人・保佐人・補助人に与えられる代理権の範囲 財産に関する法律行為すべて 申立ての範囲内において家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」 申立ての範囲内において家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」

任意後見制度では、本人に十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分な状態になった時に備え、あらかじめ自分が選んだ人(任意後見人)に、自分の生活・療養身上看護・財産管理などに関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)のことを指します。
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成年後見制度の申請料料金

1.法定後見開始審判申立てに必要な費用
  後見 保佐 補助
申立手数料(収入印紙) 800円 800円 800円
登記手数料(収入印紙) 2,600円 2,600円 2,600円
その他 連絡用の郵便切手、鑑定料
2.任意後見契約公正証書の作成に必要な費用
種類 金額
公正証書作成の基本手数料 11,000円
登記嘱託手数料 1,400円
登記所に納付する印紙代 2,600円
その他 本人らに交付する正本等の証書代、登記嘱託書郵送用の切手代など

成年後見制度の申込期間の目安

一般的な審理期間については3~4ヶ月とされています。ですが、個々の事案により異なり、それ以上かかってしまう可能性もあります。
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死後事務委任契約とは

死後事務委任契約とは、委任者(本人)が第三者(個人、法人を含む。)に対し、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等についての代理権を付与して、死後事務を委任する契約をいいます。

  • 死後事務の内容例
    • 委任者の生前に発生した債務の弁済
    • 委任者の死後の葬儀、埋葬もしくは永代供養に関する債務の弁済
    • 賃借建物の明け渡し、敷金もしくは入居一時金等の受領
    • 親族関係者への連絡
    • 家財道具や生活用品の処分に関する事務

    など。

  • 契約内容の注意点
    費用の負担について明確にしておく必要があります。任意後見人・成年後見人等は、ご本人が死亡した時点でその職務が終了しますし、見守り契約のみの場合では、死後の事務を行うための財産的裏付けがなく、葬儀費用等の支払いを行うことができなくなります。遺言で祭祀の主宰者に、「遺言者の葬儀費用に充てるために、金○○円を預託してあり、それを使用して下さい」と指定することも可能です。
    <契約の例>
    • 通夜と告別式は、○○寺にお願いして欲しい。
    • 通夜と告別式の費用は、100万円以内でお願いしたい。
    • 永代供養は、○○○寺にお願いして欲しい。
    • 賃貸住宅の明け渡しの手続きをお願いしたい。
    • 家財道具や、身の回りの生活用品の処分をお願いしたい。
    • 下記の友人に、私が亡くなったことを知らせて欲しい。

    など。

  • 死後事務委任契約と任意後見契約との違い
    任意後見契約は、ご自身の死亡によって終了しますが、亡くなった後はの事務処理はされません。その対処として必要なのが死後事務委任契約を締結することなのです。この契約を交わすことで、任意後見契約終了後の事務についても、お願いしておくことができます。

      死後事務委任契約 任意後見契約
    契約方法 公正証書に限らない 公正証書に限る
    死亡によって・・・ 契約は終了しません。 契約は終了します。
    支援をする人 受任者(司法書士等) 任意後見人(司法書士等)
    契約 死後事務委任契約締結 任意後見契約締結
    生前   死後事務委任契約スタート

    (終了)

    相続人に引き渡し
    生後 任意後見契約スタート

    <後見人が後見事務>

    (終了)
     

    司法書士は、家庭裁判所により選任される相続財産管理人、不在者財産管理人、遺言により指定される遺言執行者、また、当事者からの依頼による財産管理業務をおこなうことができます。

    具体的に行えるものとしては、銀行預金などの解約手続き、株式・投資信託などの名義変更手続き、生命保険金などの請求、不動産の任意売却などがあります。

    これらの規定は平成14年の司法書士法改正にともなうもので、同様の規定は弁護士法人の業務に関する省令にもありますが、その他の法律には存在しません。ですので、士業として財産管理業務をおこなうことができるのは、司法書士と弁護士に限られます。

    なお、司法書士がおこなえる財産管理業務は、事件性(紛争性)がないものに限られます。